機能解剖学を筋トレに活かす。怪我をしないための基礎知識

パーソナルジム 蒲田

機能解剖学を聞いたことありますか?

解剖学は有名ですので知っている方も多いはず!
学校でも人体模型とか保健室においてありましたね?

機能解剖学は動作の理解や関節の可動域がどの程度動くのが正常なのかを認識するためにも必要な学問になります。
関節の可動域を把握することで、

  • 自身の可動域は正常なのか
  • この筋トレは自身の可動域から考慮して無理がないか
  • 筋トレをしていてどんな怪我のリスクがあるか

このようなことを事前に把握して、怪我をせず継続して筋トレ生活を送れます。
トレーナーではなくても、トレーニングをしている方は知っておいて損はないものです。
みなさんが長く継続するためにも分かりやすく機能解剖学の解説をしていきます。

目次

機能解剖学とは?

機能解剖学はトレーナーをお仕事でやる上で理解しておく必須科目になります。
人体の可動域の基準を知ることで、動作においてのエラー等がどの動作で起こっているのかを知る指標にもなります。

解剖学は知っている方も多いと思います。
学校の保健・体育の教科でも多少学ぶこともあります。
解剖学と機能解剖学は何が違うのかも踏まえて確認しましょう。

解剖学とは

解剖学は、体の構造を知る学問になります。
骨格や筋肉などの構造や配置を知ることで、運動生理学や機能解剖学などの他の学問などに活かしていきます。
人体の研究をする上でベースとなるものが解剖学と言ってもいいでしょう。

機能解剖学とは

機能解剖学は動作に対して働く筋肉などを研究するもので、人体がどのように動くのかを把握・理解するために必須の学問になります。
肩甲骨はどのくらい内側(内転)に動いて、どのくらい外側(外転)動くのか、
股関節はどの程度開くのか、肩関節はどのくらい上がり、どのくらい動くのか。
機能解剖学で人体の動作基準を知ることで、関節可動域が狭いのか広いのかを把握でき、主に働く筋肉を把握することで、
なぜその動作の可動域が狭くなってしまうのか、などを考察できるようになります。

機能解剖学をトレーニングに活用

機能解剖学を理解することで正常な可動域と自身やクライアントの動作の可動域を正常値と比較して評価することができます。
簡単に言えば、正常値より硬いかどうかが分かります。
可動域が狭い=硬いとは一概に言えないですが、動作に必要な筋肉が硬いことが多いです。
なので正常値よりも狭い可動域の場合、原因になっている筋肉などにストレッチをかけたりして対処ができるようになります。
また、簡単には対処まで出来ない(習慣や癖になっていることが多いので)のですが、
可動域不全やエラー動作を知ることでトレーニングにおける動作でどこに負担がかかり、怪我に繋がるかなどリスクの管理や対処ができるようになります。

トレーニングにおいて機能解剖学を理解し、認識することでトレーニングの効率だけでなく、怪我などのリスク管理ができるようになります。

肩関節:人体で1番大きく動かせる関節

それでは代表的な関節の可動域がどれくらいなのかを確認していきましょう。
まずは人体で一番大きい可動域である肩関節から。

肩の関節は外転・屈曲が180°と大きく動かすことができます。
真下から真上まで動かせる唯一の関節で、生物の中でもここまで動くのは人間の肩関節だけなのではないでしょうか?
四足歩行の動物にはまずここまでの関節可動域を出すことが出来ないはず。

そんな奇跡の肩関節の可動域は以下になります。

外転180°

動作:腕を横に開き、頭上に上げる動作
主に働く筋肉:三角筋(中部)、棘上筋、上腕二頭筋長頭
主なトレーニング:サイドレイズなど

内転0°

動作:腕を横に開いて下げ、体につける動作
主に働く筋肉:広背筋、大円筋、大胸筋
主なスポーツ動作:脇を締める動作、ボクシングのガードなど

屈曲180°

動作:腕をまっすぐ前方に上げていく動作
主に働く筋肉:三角筋(前部・中部)、大胸筋(鎖骨部)
主なトレーニング:フレンチプレス、ショルダープレスなど

伸展50°

動作:腕をまっすぐ後ろに引く動作
主に働く筋肉:三角筋(後部)、広背筋、大円筋
主なトレーニング:キックバック、ローイングなど

内旋80°

動作:肘を直角に曲げて前腕を体の中心に寄せる動作
主に働く筋肉:肩甲下筋、大胸筋、広背筋、大円筋、三角筋(前部)
主なトレーニング:ローテーターカフのバンドトレーニングなど

外旋60°(移動軸:尺骨)

動作:肘を直角に曲げて前腕を外側に開く動作
主に働く筋肉:棘下筋、小円筋、三角筋(後部)
主なトレーニング:バンドプルなど

屈曲・外転・外旋の可動域不全が多い
主:三角筋(中部)、棘上筋、上腕二頭筋長頭
主:棘下筋、小円筋、三角筋(後部)
主:三角筋(前部・中部)、大胸筋(鎖骨部)

主働筋である三角筋やローテーターカフ中心に機能向上すると改善するように見えるけれど、実際にはこれと反対側についている(拮抗筋)広背筋のストレッチをすることで、屈曲・外転・外旋の可動域改善にアプローチできます。

股関節:肩関節の次に大きく動く関節

股関節は肩関節の次に可動域の大きい関節です。
特に歩行時に主に動く関節になるので、股関節周辺の筋肉は活動量も多いです。

『股関節と膝関節は体重を支えながら動く』役割があり、生活において重要な仕事をしています。
移動には歩行は現代でも欠かせないはず!
なので股関節が正常に動くことは生活をする上で大切なポイントになります。

外転45°

動作:脚を中心から外に開く動作
主に働く筋肉:中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋、大臀筋(上部)

内転20°

動作:脚を閉じる動作
主に働く筋肉:長内転筋、短内転筋、大内転筋、恥骨筋、薄筋
主なトレーニング:アブダクターなど

屈曲125°

動作:股関節を曲げて、水平面に向かって前方に足を上げる
主に働く筋肉:大腿直筋、恥骨筋、大腿筋膜張筋、縫工筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋、腸腰筋
主なトレーニング:スクワット、ランジなど

伸展15°

動作:股関節を曲げて、水平面に向かって後方に足を引く
主に働く筋肉:大臀筋、ハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)
主なトレーニング:グルート、ドンキーキックなど

内旋45°

動作:脚の前部が正中矢状面の方向へ回旋する動作
主に働く筋肉:小臀筋、中臀筋、大腿筋膜張筋

外旋45°

動作:脚の前部が正中矢状面から離れる方向へ回旋する動作
主に働く筋肉:外旋6筋(梨状筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋)、大臀筋
主なエクササイズ:クラムシェルなど

屈曲・外転・外旋の可動域不全が多い
伸展・内転・内旋筋の拘縮が原因で上記の可動域が狭くなる場合が多いです。

その他の関節

肩関節と股関節以外にも関節は多くあります。

脊柱の関節

脊柱(背骨)も関節なのです。脊柱は4つの働きがあり、

  • 体を支える
  • 体を動かす
  • 肋骨と組み合わさって内臓を保護
  • 脊髄などの重要な神経を保護

以上の役割があり、体を動かす関節の役割も担っています。
関節としては主に、

  • 頚椎(首の背骨) 側屈50°、前屈45°、後屈30°、回旋90°
  • 胸椎(首から腰までの背骨)30〜35°
  • 腰椎(腰の背骨)5〜15°

以上の3箇所が主に背骨での体を動かす役割を担っている部位になります。
仙骨(仙腸関節)なども背骨ですが、上記や股関節との連動において調整の役割が強いので省きました。

これを見てわかるのは、腰の可動域は狭く、胸椎を可動させることが本来は大事になりますが、
猫背になったりして胸椎の可動域が狭くなり、本来は安定させる役割の腰椎を動かしてしまい、腰痛につながってしまうのです。
腰痛対策にも胸椎の可動域を正常にすることが大事ですね!

膝関節

屈曲130°
伸展0°

膝関節は可動よりも安定させる役割が強い関節です。
関節可動域も滅多に狭くなることはないです。
ただし、他の関節よりも体重がかかりやすく、靭帯も含めて膝は痛めやすい箇所になります。
大腿部(太もも)が主に膝関節の動作で必要になるので、負担を減らすためには大腿部(太もも)の筋力をつけることが大切です。

足関節

背屈45°
底屈20°

背屈の可動域不全は意外と多いです。
背屈の可動範囲が狭いと足先を持ち上げずらくなり、つまずきやすくなります。

また深くしゃがめなくなる要因もこの背屈が原因です。
脛の筋肉が硬くなっていたり、ふくらはぎが硬くなることで背屈の可動域が狭くなるので、
ストレッチや筋膜リリースでケアすることが大事です。

まとめ

上記の関節可動域を把握して自身と比較。
狭くなっている動作があれば、ストレッチなどでトレーニング前やトレーニング後にケア。

怪我なく健康に筋トレを続けるために、可動域を正常に戻していきましょう。
次に掲載の記事は機能解剖学を知らないと理解出来ないものなので、今回は機能解剖学について書きました。
次回は難しいけれど、面白い(はず)の記事を掲載します。

ビギナーフィットネスFIRST
山田光貴

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