インナーユニットが働くメリットと体幹トレーニングの関係
インナーユニットをご存知でしょうか?
世の中にはコアユニット、コア、お腹のインナーマッスル、体幹などいろいろな言葉が乱立しています。
今回はインナーユニットとは何か?うまく使うとどのようなメリットがあるか?をお伝えします。
インナーユニットの構成と働き
インナーユニットの構成
いくつかの筋肉で構成される体の中心部分です。ここで注意していただきたいことは、具体的にインナーユニットという固体が存在しているわけではありません。腹横筋、多裂筋(腰部)、横隔膜、骨盤底筋群に囲まれた部分だとイメージしてください。
インナーユニットを構成する筋肉の役割
横隔膜
呼吸の時に働きます。息を吐くときに収縮して下にさがり、吸うときに弛緩して上にあがります。意識して動かすことはほぼないでしょう。
骨盤底筋群
排泄のコントロールに重要な役割があります。加齢とともに機能が低下しやすく、衰えることにより女性の方は『腹圧性尿失禁』という特有の病気になる方が多いです。
多裂筋(腰部)
姿勢の維持・体を捻じる・横に倒す・後ろに反るなどの役割があります。
腹横筋
息を吐くとき(収縮)や吸うとき(弛緩)に働きます。お腹を凹ませる時にも働く筋肉で、天然のコルセットとも呼ばれ意識して動かす(収縮)ことがしやすい筋肉です。
このように腹腔の臓器を守るように位置していて日々私たちの体を守っています。意識して使うこともできますが、多くの人は無意識に使っているでしょう。
皆さんは呼吸をしている時呼吸に意識を向けていますか?肺に空気が入ると横隔膜は収縮して下に下がり、息を吐くと弛緩して元の位置に戻ります。横隔膜を下げようと思って下げたり、上げようと思って上げる人はいないですね。
インナーユニットを鍛えるメリット
- 姿勢が安定する
- 疲れにくくなる
- 怪我を防止する
- スポーツパフォーマンスが上がる
- お腹周りが締まる
- 代謝が上がる
- 腰痛などの痛みや凝りが和らぐ
- 尿漏れの予防と改善
具体的にどのように関係しているかは割愛します。間接的な効果は専門家に聞いてみてください。パーソナルトレーナーやインストラクターから指導を受けることで体感し理解が深まるでしょう。
インナーユニットのポイントは意識して使う
インナーユニットを意識して使うということはどういうことでしょうか?使うということは機能的に働いている状態です。機能的に働いている状態とは、インナーユニットを構成する筋肉(主に腹横筋の収縮)が働き腹圧が高まることで、体幹が安定し適切な力を発揮することができるということです。
腹圧を高める
腹圧が高まるって?と感じた方もいると思うので簡単に説明します。お腹に風船があると仮定し、この風船をつぶそうとすると風船内の内圧が高まります。インナーユニットも同じで腹横筋が収縮すると風船をつぶそうとしたように腹腔内の内圧が高まります。内圧が高まることで強度が増します。どうして?と感じた方は自転車のタイヤを想像してみましょう。空気が少し抜けたタイヤは柔らかいですよね?その自転車に人が乗ると体重の重さでタイヤは凹みますがタイヤ自体は硬くなります。これは人が乗ることでタイヤの内圧が高まりタイヤの強度が増しているということです。
姿勢の安定と力の発揮
強度が増すことに連動して背骨や骨盤が安定し姿勢も安定します。安定した姿勢は適切な力を発揮するために必要不可欠です。コンタクトスポーツの経験者であればポジションが悪いとパフォーマンスの低下を招くことを理解できるはずです。もう少しわかりやく説明すると、重たいものを持ち上げようとする時に自然と足幅は肩幅以上に開くはずです。それはこの姿勢が一番力を発揮できると体が知っているからです。
インナーユニットと呼吸
ドローイン
ドローインを聞いたことはありますか?ドローインとは腹式呼吸でお腹を凹ませることです。息を吐きながらお腹を凹ませることで腹横筋が収縮し、連動してインナーユニットを構成する筋肉も動き腹圧が高まります。腹横筋は収縮しているかどうか確認することが簡単にできるのでドローインをする時は腹横筋の収縮を意識しましょう。
ドローインのやり方
- 仰向けに寝て膝を立て、上前腸骨棘(ASIS)から3cmほど内側やや下に人差し指と中指が位置するように手のひらを『ハの字』に置きます。わかりにくい方は骨盤前側を手のひらの中心で『ハの字』で覆うように置きます。
- おへその下に空気が溜まるように息を吸い、ゆっくり吐きながらお腹を凹ませていきます。
- これ以上はお腹が凹まないというところまで息を吐きます。おへその下やお腹の横が固くなっていることを触って確認し、おへその下を見て平らになっていれば腹横筋がしっかりと収縮している証拠です。
- その状態をキープしながら浅い呼吸を繰り返します。
仰向けで行うことで内蔵の重さを感じず、負担が少ない姿勢で呼吸に意識を向けやすくなります。その他にも座位、立位、四つ這いなど様々な姿勢で試してください。最終的には動きながらできると良いでしょう。
ブレーシング
おそらくドローインより知らない人が多いのではないでしょうか?その理由としてブレーシングはウェイトトレーニング、特に高重量を扱う場合やウェイトリフティングなどで使われることが多い呼吸法だからです。
ドローインは、お腹を凹ませるように息を吐きながら腹横筋を収縮させる。風船を絞るイメージ。ブレーシングはお腹を膨らませたまま腹式呼吸を行い腹直筋、腹斜筋群も加えて収縮させる。風船を膨らませたまま固くするイメージ。大きな違いはお腹を凹ませるか膨らませるか。どちらも力が入っている状態で呼吸をすることが大切です。
ブレーシングのやり方
- 仰向けに寝て膝を立て、わき腹を真横からつかむように手を置きます。
- わき腹を横に広げるように息を吸い背中まで空気を入れます。
- そのままお腹をパンパンにさせて、息を吐きながらお腹を固めていきます。
- 常にお腹が固く膨らんだ状態で呼吸を繰り返します。
仰向けの姿勢で力が抜けてしまう方は座位で試してみてください。私は座ったほうが骨盤底筋群を締めやすくお腹を膨らませた状態をキープできると感じます。骨盤底筋群を締める感覚がわからない方は以下の中から意識しやすい方法を探しましょう。
- ハンカチの上に座りスポイトのように吸うイメージで力を入れる
- お尻、肛門を締めるように力を入れる
- おしっこを我慢するように力を入れる
- 生殖器を動かすように力を入れる
インナーユニットと体幹トレーニング
体幹トレーニングと聞いて思いつくものはなんでしょうか?プランクやダイアゴナルリーチ、バックエクステンションを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。ここで皆さんに考えていただきたいことはインナーユニットとのつながりです。
結論はインナーユニットを働かせたまま体幹トレーニングを行うことで、安全に効率よくトレーニングができます。
プランクを行うとき、上半身を板のようにまっすぐにしましょうと紹介されています。なぜまっすぐにするのでしょうか?お腹に力が入るから、腰の負担が少ないからと思う方は理由を説明できますか?体幹トレーニングはよくも悪くも有名になり、エクササイズ名や形だけを知っている人が多いでしょう。
しかし、適切に効果的なトレーニングができている人は残念ながら少ないのが実情です。インナーユニットが働くと腹腔の内圧が高まり姿勢が安定するとお伝えしましたが、この状態でトレーニングをすることに意味があります。骨盤や背骨が安定し力の分散が少ないことで、本来負荷をかけたくない箇所が守られると同時に力の伝達がスムースに行えるのです。
インナーユニットを上手に機能できない状態は怪我の誘発と効果の減少を招くといっても過言ではないでしょう。今まで体幹トレーニングで体に痛みが出た方は、まず呼吸から見直してインナーユニットを働かせましょう。うまくできているのかわからない方はパーソナルトレーニングを利用することで客観的に見てもらうことができます。
まとめ
インナーユニットの構成
- 腹横筋
- 横隔膜
- 多裂筋(腰部)
- 骨盤底筋群
インナーユニットを鍛えるメリット
- 姿勢が安定する
- 疲れにくくなる
- 怪我を防止する
- スポーツパフォーマンスが上がる
- お腹周りが締まる
- 代謝が上がる
- 腰痛などの痛みや凝りが和らぐ
- 尿漏れの予防と改善
2種類の呼吸ドローインとブレーシング
- ドローインはお腹を凹ませるように息を吐きながら腹横筋を収縮させる。
- ブレーシングはお腹を膨らませたまま腹直筋、腹斜筋群も加えて収縮させる。
インナーユニットと体幹トレーニング
- ベースはインナーユニットを機能させる
- インナーユニットを機能させたうえで体幹トレーニングを行う
自分の体を機能的に使うことがダイエットや姿勢改善、健康維持に必要です。安全に効果的にトレーニングをする、トレーニングを提供するために正しい知識を身につけインナーユニットを意識して使えるようになりましょう。
ビギナーフィットネスFIRST大森北 本田
参考書籍
中野ジェームズ修一(2019).世界一効く体幹トレーニング サンマーク出版
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